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家族になりたい・・・「ふたりのねこ」に見る愛の形

  • 2019年11月27日
  • 読了時間: 3分


みなさんこんにちは。カウンセラー佐々木です。


ここで以前ヒグチユウコさんの「せかいいちのねこ」という絵本を紹介させていただいたことがありますが、三島市の佐野美術館で、いよいよヒグチユウコ展「CIRCUS」が始まりました。



ヒグチユウコさんのファンのわたしはもうすでに見てきたのですが、会期中はあと数回見にいく予定です。12月22日までやっているそうですので、興味のある方はぜひ。愛情とユーモアとちょっぴりの毒とが、独特な世界観で表現されています。



さて、せっかく三島でヒグチ作品が見られるので、ここでもまたヒグチユウコさんの魅力についてお伝えしようと思います。


今回はヒグチユウコさんのデビュー作である「ふたりのねこ」についてです。


独特の絵のタッチばかりに目が行きそうですが、絵本のストーリーも興味深く、普段子供向けの絵本には通常描かれない「闇」の部分もストーリー展開に重要な役割を添えています。

気がつくと見知らぬ場所にいたぬいぐるみのにゃんこ。

自分は持ち主のぼっちゃんに捨てられてしまったのだろうか、いや、ぼっちゃんは僕のことを大事にしてくれていたはず・・・。


にゃんこを拾ってくれたのは、1ぴきの猫。この猫はかつて人間に捨てられてしまった猫なので、人間のことを信用していません。


「ぼっちゃんに会いたい」


と泣くにゃんこのために、猫は一緒にぼっちゃんを探してくれますが、内心


「本当はぼっちゃんに捨てられたのでは?」


と思っています。


来る日も来る日も、ふたりはぼっちゃんを探します。でも、なかなか手がかりがありません。

にゃんこが


「ぼっちゃんに会いたい」


と泣くと、猫がそっと抱きしめてくれるようになり、そうしているうちにだんだん二人はお互いを家族のように大切に思うようになりました。


「このまま一緒に暮らせないだろうか」


と内心で思うふたり。しかし、ある日突然猫が苦しそうに倒れてしまい、にゃんこは猫のために夢中で助けを呼びに行きます。


見慣れた犬に出会い、確かこの犬は人間に飼われていたはず、と思い、泣きながら


「お願い!猫を助けて!ぼくの宝物をあげるから!」


と、ぼっちゃんにもらったアンモナイトの首飾りを犬にわたすのでした。


犬は人間の飼い主をつれてきてくれ、倒れている猫に気づいて助けてくれました。その様子を隠れて見ていたにゃんこ。


「ねこは行ってしまった。ああ、ねこに言いたかった、ありがとうって。」


「あの人間はきっと病気を直してくれる。新しい家族になってくれる。」


そう思って、にゃんこはポロポロと涙を流すのでした。



読み返すたびに涙が出てくる、お気に入りの一冊です。


誰の心にもある、お互いを思いやり、いたわりあう気持ち。行動となって表現される形はそれぞれ違うけれど、きっとそんな愛情を誰もが持っています。

自分の気持ちを満たすのではなく、相手の幸せを考えるからこそ、自分は幸せになれないかもしれない。そんな悲しいけれど美しい愛の世界が、「ふたりのねこ」には描かれています。


ぜひ、そんなヒグチユウコワールドを、佐野美術館で堪能してください。




 
 
 

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